去年の11月、友人と韓国・釜山へ旅行しました。
ショッピングをしてロッテ免税店のエレベーターを降りようとしたとき、
ひとりの女性がちょうど乗ろうとしていました。
閉まると悪いなと思って、反射的に「開」のボタンを押しました。
それだけのことでした。
でも、それがすごいご縁の始まりになりました。
「日本語、お話しできますか?」
エレベーターの中で友人と日本語で話していたのを聞いていたようで、
その女性が日本語で話しかけてくれました。
とても流暢で、「日本が大好きで、ずっと勉強しているんです」とおっしゃっていました。
バッグの中には日本の小学生用の国語の教科書が入っていて、
それを持ち歩いて勉強しているとのこと。
その姿勢に、まず驚きました。
「喉、乾いてない?アイスコーヒー飲みに行きましょう」
突然のお誘い。でも全然怪しくなくて、なんというかその方の雰囲気がもう、
ただただ品があって優しかった。
ロッテ百貨店のラウンジに連れて行ってもらって、しばらくお話しました。
日本のこと、釜山のこと、旅行のこと。気づいたらあっという間に時間が経っていて。
「このあと用事があるから。釜山、楽しんでね」そう言って、颯爽と出ていかれました。
「釜山マダム」というニックネーム
ホテルに帰ってから、友人とずっとその話をしていました。
連絡先も交換しなかったことに気づいたのはそのあと。
「なんで聞かなかったんだろう」
「また釜山に来たらお食事一緒にしたかったね」と、二人で後悔しながら。
勝手に「釜山マダム」というニックネームをつけて、
その夜はずっとその話をしていました。
翌日、地下街で「きたー!!」
次の日、釜山の地下街をブラブラしていて、
少し疲れてベンチに座って話していたときのことです。
人が行き交う中を歩いていたひとりの女性が、
ふとこちらを振り返りました。
……釜山マダムでした。
向こうも「あっ!」という顔をして。
私たちも「きたー!!」と心の中で叫びながら駆け寄りました。
釜山の地下街で、あのタイミングで再会するって、普通じゃないと思う。
それだけ人が多くて、広い場所で。
今度はちゃんとLINEを交換しました。
今もLINEでやりとりしています
あれから、釜山マダムとは今でも連絡が続いています。
ご主人と日本へ旅行に来るとき「ここに行きたいんだけど、美味しいご飯屋さんある?」と
聞いてくれたり、旅行先の写真を送ってくれたり。台風が来た時期に日本に旅行中だったので、
「欠航や手続きが必要だったら連絡してね、手伝うから」と連絡したこともあります。
お互い声に出して話すやりとりはあまりないけれど、
文化も言葉も違う中でこうして交流が続いているのが、なんだか嬉しいです。
旅のご縁って、ドアひとつから始まる
エレベーターの「開」ボタンを押したのは、ほんの小さな動作でした。
でも、あの一瞬がなければ釜山マダムとの出会いもなかったし、
翌日の再会もなかった。今のやりとりもなかった。
旅をしていると、こういう「なんでもないきっかけ」から始まるご縁が生まれることがあります。
それが50代になってからの旅の楽しみのひとつになっています。
また釜山に行ったら、今度こそ一緒にご飯を食べたい。
それを楽しみに、次の旅の計画を立てています。
